たとえばそこに「何か」があったとする。そこに「何か」があるということは、そこに「何か」がある と人が認識したということです。認識の仕方も、美しいとか醜いとか、必要とか不必要とか、本当にある のか、あると感じているだけなのか、など見方やとらえ方によって様々にその姿は変わります。また私達 は、アレよりも大きいだとか、優れているだとか、幸せだとか、「何か」と比べることで自身や物事を測 る事もあります。私達は常に「何か」と関係することでこの世界を捉えているのだと思います。
余白のような物。間(ま)のような物。地と図の「地」のような物。とある物。...のような物。 私は「特定の何かでは無い『何か』」という曖昧な存在に形を与え、それを展示する事で、鑑賞者それぞ れによって、見え方の異なる空間をつくりたいと思います。
私の作品が鑑賞者とこの世界の間に登場し、「存在すること」について測る為の一つの基準となること を望んでいます。